人狼BBS:F国 F137村住人の作品集。

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【引き継がれる想い】 アル&ハヴ@tasuku

...2006/03/19 15:50...





 それに気づいたのは、村についた翌日の散策の途中だった。
「ん……なんだこれ……猫?」
 村外れにある小さな塚。そこはかつての人狼騒動の際に処刑されたり襲撃の犠牲になったりした人々の霊を祀るために築かれた物で、今でもお参りする者は絶えない、と聞かされた場所。
 表向きの肩書き──『伝承研究家』としての仕事の一環として、レポート内に含めるべき場所だと思っていた事もあり、まずはどんな所か見てみよう、と気軽に立ち寄った。
 そこで見つけたのが、身体を丸めた猫の姿を掘り込んだ、黒い石。それは、塚の横に寄り添うように置かれていた。
「なんだろ、これ……何か、意味が……」
 意味があるのかな、と呟きかけたその時、肩の上の相棒・ミストがその石の前に飛び降りた。
「……ミスト?」
 突然の事に戸惑って、声をかけると、
『ハヴ、これ、おもい、たくさん』
 ミストは意識の中にこんな返事を返してきた。
 ミストとは、直接的な会話こそできないものの、『使い魔の契約』を結んでいる事で意識上の交信はできる。
「想い……思念が、詰まってるって事か?」
 確かめるような問いに、白い妖精はこくこく、と頷く。
「……わかった、後でゆっくり時間を取って調べてみよう。冷えてくる前に、戻ろう」
 ふわふわした毛に覆われた頭を撫でてやった後、拾い上げて肩の上に乗せる。それから、集会場へ戻ろうか、と踵を返した時、

──……護ってください……──

 微かな『声』が、意識に届いたような、そんな気がした。
 聞き覚えの全くない声。多分、自分とさして年齢の変わらない、男の声だと思う。
 思わず足を止めて周囲を見回すが、周囲には誰の姿もなく、ただ、塚と黒い猫の石があるばかり。
『ハヴ?』
「……いや……なんでもない」
 ミストが不思議そうにこちらを覗き込むのに短く答えてから、俺はゆっくりと集会場に戻って行った。

 そして、その二日後。

「……」
 世界が茜色のヴェールをまとい始める、夕暮れ間近。俺は、例の塚の前にぼんやりと佇んでいた。
 所属する『結社』からの連絡で、この村に人狼が紛れ込んでいる事と、今回の相方として選ばれた者の名は、既に知っている。村の入り口は閉ざされ、生き残り戦が静かに幕を開けようとしていた。
 『結社』の構成員が人間である事は、世界における暗黙の了解。
 それ故、結社員は人狼騒動が始まった際に、場をまとめる議長役を任される事が多い。一人が表に立って、一人は一般人の中に止まり、それによって様々な策を巡らせるのが、常。
 問題は……。
「余所者の俺が潜伏を選んで……いざ、という時に、信頼を得られますか、ね」
 相方殿が誰を知ってから、ずっと考えていたのは、これ。
 立ち回りをしくじれば、危機的状況を導きかねない事が、心配の種だった。
「……さて、どうしますか。どうすれば、いいかな?」
 誰に問うつもりでもなく、こう呟いた時。

──……護ってください……──

「……っ!?」
 先日も聞こえた声がまた、意識に響いた。
「……誰……だ?」
 低く呟いて、周囲を見回す。
 俺には、生まれつき特殊な力が一つ、備わっている。
 それは妖精の声を聞き、その姿を見、接する力。
 その力があるからこそ、幸運の妖精であるカーバンクルのミストと契約を結ぶ事もできた訳だが、この力は時に、妖精以外のものの声を捉える事もできる。そして、今捉えているのは妖精とは違う、しかし、限りなくそれに近い……純粋な思念体の声のように感じられた。
『……ハヴ』
 肩の上のミストが呼びかけてくる。その小さな手が指し示す方を見た俺は、塚の前に佇む『姿』に息を飲む。
 黒猫を肩に乗せた、半透明の人影。
 年齢は多分、俺と同じくらいの、まだ若い男──それがこの間の、そして、今の声の主なのは、容易に察しがついた。
「護るって……なに、を?」

──この地の、ささやかな平穏と……幼き者の、生命を──

 静かな問いに、声が静かにこう答える。
「平穏と……生命?」

──そう……それだけは、失われてほしくないもの……ですから……──

 静かな言葉。そして、それに込められた、想い。
 それは、はっきりと感じられた。
 何故かは、わからないが……どうやら、この『姿』と俺は、似た者同士であるらしい。
 何がどう、と言われると困るけど。
 強いて言うなら──同じ痛みを知る者同士……だろうか。
 何かを亡くして、そして、それを繰り返したくない、という、想いを持つ者同士。
 確証はないが、そんな気がした。
 そして、そう感じたからこそ。
「……わかった」
 ごく自然に、こう頷いていた。
「あんたが誰かは知らない。でも、その気持ちは、何となくわかる。だから、俺にできる範囲で……できるだけの事をしてみるよ」
 直接的に、襲撃の牙から護る力は備えていないけれど。
 表に立ち、人の意思をまとめていく事で、一人でも多くを護る事はできるだろう。
 それに……表に出る事で、俺自身が襲撃の牙を一度は引きつける事もできる。消極的ではあるけど、これもまた、『護る』という一つの形だろう。
 俺の返事に『姿』は僅かに微笑み──揺らめいて、消えた。

 立ち込める、静寂。
 その只中で、俺は静かに決意を固める。

「どこまでやれるかは、わからないけど……やってみますか」
 口調だけは軽く、呟いて。
 俺は集会場へと戻るべく、ゆっくりと歩き出した。

 力なき身にて、なせる事。
 それを、全力で果たすために。
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ハーヴ結社CO直前。
襲撃直前だと、なんか『月に祈りて』の繰り返しネタになりそうだったので、こっちにしました(^^;
つまり、ハーヴはアルビンに結社COさせられた、という事ですね(笑/んなわきゃない)。
【2006/03/19 16:14】
URL | アル&ハヴ@tasuku #MqNV1N3E[ 編集]




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