人狼BBS:F国 F137村住人の作品集。

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沈黙の村の少年 (byペーター)

...2005/10/08 15:23...





物心つく頃からそうであり、それが当たり前だと思っていたけど、他の人は違うみたいだと気付いたときには、軽い衝撃を覚えたこと。なぜか僕だけのものらしい、「能力」。
身近な人の死に際して、夢でその人とお話できる。
村ではやっている占いごっこなんかではなく、本当にお話ができるんだよ。

3歳のとき。隣国に出稼ぎにいっていたパパの死をその晩のうちに知った。単なる夜泣きと思われたそうだけど。
5歳のとき。友達が熊に襲われた事と場所を知った。知らねば翌日は僕も襲われたかもしれない、いつも通る村はずれの道端だった。
6歳のとき。ずっと体が悪かったママが最後に元気な笑顔を見せてくれた。
そして7歳の秋。

村に人狼が来ているらしいということで、村長さんの集合がかかった。昼間は村人と見分けがつかず、夜になると正体を現して村人を襲うという。とても信じられない話だけど、大人たちの深刻な表情が冗談ではないことを語っていた。難しい話はわからないけれども、どうやら村で話し合って毎日一人ずつを処刑しなければいけないらしい。

問題は処刑した村人が人狼であったかどうかの検死役を誰がやるか。昨日まで共に酒を飲み交わした仲間を吊るだけでも気が重いのに…。みんな押し黙っていた。
気がつくと、僕は手を上げていた。大人達は最初驚いたけれども、むしろ子供のほうが公平で問題も少ないと思ってくれたらしい。程なくほぼ全員が認定してくれた。

むしろ子供ながらに大した覚悟と責任感だと賞賛される中、僕は明らかに異質な視線を感じていた。密かに横目で確認する。それは全部で3人。ならず者のディタさん。農夫のヤコブさん。そして同い年の可愛い女の子、リーザちゃん。特にリーザちゃんの表情は僕にとってショックだった。危険だと非難しているのか。それとも別の事情が…?

最初の処刑はおじいちゃんに決まった。村の最長老で、300歳とも400歳ともいわれている物知りのおじいちゃん。祭事や村人の縁組にも関与するその影響力と、その人間離れした高齢とが、ここにきて逆に疑惑となったようだった。おじいちゃんはあっさりと村の結論を受け入れた。処刑の晩、僕は夢の中でおじいちゃんと二人きりで話した。

「さて。最後にペタ坊に教えておくかのう。この村が別名”沈黙の村”と呼ばれておるのは知っておるな」おじいちゃんが尋ねた。僕はこくりと頷いた。「でも変な名前だよ。みんな陽気でよく喋るよ。ムジュンだよ」「そう。名前だけが伝わっており、その由来までは今や誰もしらぬ。このわしをのぞいてはな」

「…あれは今から250年前。やはり村に人狼が来たことがあったのじゃ。その時に村を滅亡の危機から救ったのは、この村に継承されていた二つの血の力。一つは「姿見の力」。一人の正体を確実に見抜く。もう一つは「夢見の力」。昇天する魂の最後のメッセージを受け止める。前回はこの二つの能力を有効に活用した村側が、人狼を退けたのじゃ」

「人狼は最後に言い残した。『お前達の気が緩み血の継承も薄まる頃、我々の仲間が再びこの地を訪れるだろう』村では将来を危惧し、その日まで確実に力を継承するためにこの力を門外不出の秘法とし、外部との血の交わりを絶った。更に継承を見守るため別の秘術で不死の番人を作り上げた。そう、自ら志願して、このわしがなったのじゃ」

「この250年間、わしは血の継承を見守り続けた。複雑な条件で隔世遺伝するこの特質が確実に繋がるよう、尽力して正しく子孫を残すよう努めてきた。仲人じいさんと呼ばれるようにはなったがの」「夢見の力。それが僕の…」おじいちゃんは静かに頷いた。「残念ながら、もう一方の血の流れは途中で確認できなくなってしまったがのう」

「どうして黙って吊られることを承諾したの?」「冤罪で吊られる村人は一人でも少なくあってほしいからじゃ。わしの仕事は既に終わっておるしの。あとはおぬしにこの話を伝えるだけじゃった。おぬしにならわしの最後のメッセージを夢枕から伝えることは可能じゃからのう」僕は飛び起きた。既に一番鶏が鳴いている。家を駆け出す。間に合って!

処刑場に駆けつけた。そう、間に合うはずはなかったんだ。おじいちゃんは既に冷たくなっていた。こんな能力…僕…ほしくなんかないよ。僕には村を救うなんて無理だよ。行っちゃ嫌だよおじいちゃんー。「おぬしの力は今や完全に覚醒した。顔を上げよ、戦うのじゃペタ坊。村をよろしくたのむぞい…」上空から微かに降り注ぐ、おじいちゃんの最後の声。

僕はおじいちゃんの検死報告をしなければならなかった。尻尾がないか調べたとか何とか、内容は適当に報告した。もちろんおじいちゃんが人間であったことだけははっきりと告げた。「辛かったなペタ坊。仕事は明日以降もある、今日のうちはゆっくり休むがよい」優しく声をかけてくれたのは、男装の麗人、事務員パメラさんだった。

パメラさんと並んで歩いていると、村の広場がなにやら騒がしい。「占いに頼る連中だ。当てになるとは到底思えぬが、神頼み占頼みの心境も、まあわからぬでもないな。それにしても4人もとは。この人数をどう見るかだが…」腕組みをしながら呟くパメラさんの視線の先を確認するまでもなく、怪しげで奇怪な一行の姿がとっくに目に飛び込んでいた。

「ダイブ占い!それどっぼーん!」
「南無八幡田舎竜昇竜、教え給え導き給え」
「こんなんでましたけどー」
「HA-!YA-!」
それぞれのスタイルで、占いをしている最中らしい。子供心にも信憑性があるとは思えないものばかりだ。むしろ今の村の混乱状態を象徴しているものだと、感じた。

果たしてこの4人の中に「姿見の力」を継承した「本物」がいるのだろうか。僕にはわからない。居たとしてもその人を見つけ出し信じられるようになる期待は少なかった。
やはり僕が自分でがんばるしかない。僕のこの力、「夢見の力」で確実に死者のメッセージを受け取り、村を救うんだ。おじいちゃん、僕はもう泣かないよ。この力で戦うよ。

翌日の処刑は、村長さん。村人達に叱咤激励を飛ばし奮闘する姿が、かえって扇動臭いとみなされたらしい。村は今や疑心暗鬼に陥っている。
「悔しいよペタ坊。私の隠れた能力は「後見の力」、人狼の襲撃を防ぐ狩人。ペタ坊はやはり血の能力者であったか。おぬしを守りたかったが…すまぬ」村長さんは夢の中で拳を固め声を震わせる。

「だが敢えて世俗的な男を演じ切ることでブラフは張った。人狼どもはまだしばらくは狩人の影に怯えて大胆な襲撃はできまい」僕の両肩に手を置く。「事態は深刻だ。ブレインや能力者を屠っていく人狼の思惑通りの展開となっている。私の独自調査では潜入した人狼は全部で3人。全てを見つけ出し処刑せねば村が滅ぶ。頼むぞ」僕は強く頷いた。

「また誤審だったというのか…」パメラさんは僕の報告を聞いて、がっくりとうな垂れた。ぽんぽんと肩をたたいて僕の労をねぎらってはくれたけど、その表情には焦燥と疲労が色濃く滲み出ている。このまま泥試合に突入すると村人達は精神的にもまいってしまう。人狼はそうなることも計算の上、持久戦も辞さない方針なのかもしれない。

人狼は連夜村人を襲い続ける。ゲルトさん、カタリナさん、トーマスさん、ヨアヒムさんと次々に襲撃された。一方村人達は、おじいちゃん、村長さんに続き、僕の判定を信じてディタさんを占師騙りと判断し処刑。当たり。夢に出てきたディタさんは口元から牙を生やし尻尾を垂らした姿。初めて見る、人狼だった。僕は勇気を出して話しかけた。

「教えてよ、あと2人は誰と誰なの?」ディタさんは何も言わずに、ニヤリと笑って見せただけだった。その裏に絶対の自信が感じられる。僕は戦慄した。残りの人狼は、誰からも疑われていない安全な位置にいるという事ではないだろうか。
…このままの展開では村は滅びると直感する。僕も考えなきゃダメだ。

どこかにヒントがあったはず。
考えろペーター、思い出せ。誰が怪しい?!

村を見下ろせる小高い丘の上で、僕は一人ぼんやりと考えていた。初日の会議の席上で受けた異質な視線。ディタさんは人狼だった。あとの2人も?でも、それは信じたくないよ。
「不用意だな。もうすぐ日没だぞ」背後から声をかけられて振り返る。事務員パメラさんが夕陽を浴びて立っていた。都の歌劇団からスカウトが通うほどの美形でありながら、生まれた村で事務員として過ごす道を選んだ、男装の麗人。

村長さんなき今、パメラさんは村の全ての公務を背負っている。過労も極まっているはずだ。顔色も心配なくらいに青白い。「今夜の処刑はアルビン殿に決まった。すまぬがまた明朝、頼む」この忙しさの中、わざわざ僕を探して報告に来てくれたんだ。その心遣いが嬉しくて、僕は感謝をこめて、大きく頷いた。いっそこの力を全て打ち明けて相談相手になってもらいたかった。でも沈黙を守った。今や僕は一人で戦うしかないんだ。

「ペーター君、気をつけてください」処刑されたアルビンさんは人間だった。夢の中で、必死に僕に警告をしてきた。「私の家系が継承するのは「幻見の力」、狩人存命のふりをして人狼たちに目に見えぬ威圧をかけるのが仕事です。その私が処刑された以上、人狼たちを縛るものは何もありません。奴らはいよいよ本命を襲撃に来るはずです。今夜が山場です。警戒を、ペーター君。ペーター…」

「…くん、ペーターくん、ペーターくん」揺り動かされて、僕は夢から覚めた。目の前に覗き込んでいる顔を見て軽く悲鳴を上げる。「リーザちゃん。どうして?」鍵をかけ忘れたのだろうか。いやそれよりこんな時に深夜に黙って訪れてくるなんて。いやいや、そんなことよりも。僕は首だけを起こして自分の様子を見た。ベッドに四肢が縛りつけられて身動きできなくなっている。やられた…?アルビンさんが警告してくれたというのに!

「起きたの。ペーター君」リーザちゃんは僕の上に馬乗りになり、更に顔を近づけてくる。キスでもするのかと思うくらいに…いや違う、これは、喉笛を狙っている?!「じっとしているの。動くと痛い思いをするかもなの。…大丈夫、すぐに終わるの」「リーザちゃんどうして?お願い嘘だと言って。まさか…」少女は最後にもう一度だけ、顔を上げた。真っ暗闇の中、至近距離でその無表情な顔が最後に呟いた。「…さようならなの」




翌朝、少年ペーターが無残な姿で発見された。
事務員パメラは連日となる葬儀をとりしきると、夕刻間際になってようやく開放されたように疲れた体を引きずり、村長執務室へと戻った。部屋の床には一面に書物や古文書、骨董品や細工物、更には旅の道化師が置いていった腹話術人形まで、ガラクタも含めて様々なものが雑多に放り投げられ散乱している。ここ数日の調査の跡だ。深いため息を付き、椅子に座り込む。

パメラは公務の傍ら、村の倉庫や書庫に入り浸り、調査を続けていた。様々な事実をつかんだ。250年前にこの村を襲った事件。村の秘伝として沈黙のうちに守られ継承されてきた血の力。その力を守るために派生した更なる傍流の力。村人達の悲願の歴史を知るに至った。だが一番肝心な、現在どの家の誰が継承者なのか、あるいは既に根絶しているものなのか、それを突き止めることがどうしてもできなかった。

村最強の武器ともいえる「姿見の力」は、恐らくいたとして広場で占いをしていた連中の誰かだろう。だが彼らはもうこの世にいない。今夜のレジーナ処刑により、継承者の可能性を残す人物は残らず襲撃か処刑で死亡だ。一方の「夢見の力」の方は、可能性があるとすればペーターだと思っていたが…だがその少年も既にこの世にはいない。人狼に立ち向かうための二つの血の力は、今や間違えなく途絶えている。

日がすっかり落ちていた。パメラは目を覚ました。どうやらすっかり眠ってしまっていたようだ。窓から満月が見える。いかにも、村の終焉を見守りに来たようではないか。パメラは自嘲気味に小さく苦笑した。「いったい誰なのだろう…そう、奴なのだ」小さく呟いてみる。そのとき。表の扉の外に人の気配を感じた。来客?まさか、こんな時に、ありえない。「どうぞ。入りたまえ」パメラは落ち着いて声をかけた。

「今夜あたり、来るのではないかとは思っていたぞ。どうした、遠慮することはない。鍵はかけていない。小細工もなしだ。…ただ少し話がしたい。最後に」
扉が静かに開かれた。月明かりを背に立つ来客の影。かなり小柄なそのシルエットを認めて、パメラは微かに眉をひそめた。現在この村で生き残っている子供はただ一人しかいない。「これは意外だ。リーザ…まさか、おまえなのか?」

パメラの驚きの声に反応するように、床の上でも小さな変化が起こり始めていた。放り投げられていた腹話術人形の目が微かに光った。昼間は完全に木と布の人形。夜の間だけ命を得て動き出し、村の中を飛び回って殺戮を繰り返す。そして夜明けまでにはこの部屋に戻って来てただの人形に戻り、再び床に転がる。これではどれだけ処刑が進もうとも人狼の全滅はありえない。なんと今回、人狼のうちの1人は人形に憑依していたのだ。

処刑時のディタの、あの絶対の自信を匂わせた余裕の笑みは、こういう意味だったのだ。
パメラは来客者を見つめている。背後で人形がゆっくりと起き上がろうとしている事など見えているはずもない。来客はゆっくり部屋の中に歩を進めてくる。パメラは複雑な感慨で、興味深く待った。そしてその小さな顔を覗き込み表情を認めることができたたとき、パメラの目が大きく見開かれた。




「まさか…お前はこの手で斃したはずだ」パメラさんの驚愕も無理はないと思う。部屋の中央に立つ来客者の子供は、リーザちゃんではない。人狼に襲撃されたはずの少年ペーター、つまり僕だったからだよ。僕は静かに窓に目をやった。空の月を一瞬、見上げる。リーザちゃん…。思い出すと目頭が熱くなる。

でも今はまず、やることをやらないと。悲しむのは後だ。リーザちゃん、みんな、僕に勇気を。僕はゆっくりと歩み寄る。パメラさんには、窓の月をちらりと見上げる。その美しい口元からのぞくのは…牙!そう、パメラさんが人狼だったんだ。事務員として村のために尽くしていたのは表向きの姿で、立場を活かして村の秘伝を探るのが目的だったに違いない。250年前の敗北を繰り返さないための、調査で疲れていただけだったのだ。

「姿見の力」を騙りと煽りで封じた上で候補者を全滅させたことも、狩人死亡を確信すると同時に「夢見の力」継承者の僕を襲撃したのも、全ては人狼側の必勝を期す作戦だったんだ。「ガッ…さすがに言わせてもらうケド、これはどういうことなのサ、襲撃しくじってるじゃないカ!」パメラさんの背後から、腹話術人形が歩み寄って来つつ、奇怪な発音で喋り始めた。この人形こそが、分からなかったもう1人の人狼だったんだね。

「ふむ。確かに驚いた。が、しかし…」一瞬取り乱しかけたパメラさんは、瞬時に落ち着きを取り戻していた。「全く問題はない。こうして向こうからまた来てくれた。戦闘で我々に勝てる人間などおらぬ」シャキーン、鋭い音をして爪を光らせる。「今日あたり鋭い村人が来てもいい頃だとは思っていたが、さすがにこれは意外だったぞ。ふむ…」声も口調も表情もパメラさん。ただ牙と爪があることを除いて。僕は昨夜を思い出して震えた。

「トリックも想像がついた。確か古文書にあったわ。…「影見の力」とか言ったか。能力者の影武者となって襲撃の身代わりになる術が編み出されていたのだったな。まさか現存するとは思わなかったが、おおかたリーザあたりがその継承者であったのだろう。言われて見れば、昨夜は完全な闇夜で、よく顔の確認もままならなかったわ。服の交換とごく簡単な変装と、あとは臭いを摺り移すだけで、十分に誤魔化せたろうな」当たり。

昨夜、寝ている間に縛られていた僕は、さすがに一瞬、リーザちゃんを疑った。だけど心のどこかで疑問符があった。圧倒的な戦闘力を持つはずの人狼が、わざわざこんな子供一人を襲撃するのに、まず縛り上げるなんて方法を取るだろうか。そう、リーザちゃんの目的は、一刻も早く僕と入れ替わること。そして問答無用で僕を安全な場所へ隠すこと。「さようならなの」あのお別れ言葉の意味は、つまり逆の意味だったんだ。

「少年と少女の味の差を見分けられぬとは、私もまだまだのようだな。これでも人狼界では美食家でとおっているのだが」パメラさんは顔に手を当てて、くっくっく、と低く笑った。「襲撃者が私だと見ていたのであれば、翌朝の検死もろくにされない、とそこまで読むこともできる。自分は安全な場所で潜伏か。なるほど見事に騙されたものだ」僕は再び窓の外を見た。そして視線を戻す。

「だがやはり、何も問題はない。お前はそのまま隠れていればよかったものを、感情に任せてふらふらと出てきてしまった。盾となり身代わりとなった村人達もこれでは犬死というものだ」「ギギ…」パメラさんと人形、2人の人狼が左右からじりじりと迫り来る。もう少しだけ時間を稼がなければ。「そうやっていくつの村を滅ぼしてきたの?」後ずさりしながら尋ねる。「食事の回数をいちいち数えていろとでも?」にべもない。

「ついでに言えば、どこの村にも特殊な能力者の一人や二人はいるものだ。おまえの「夢見の力」に類する能力も初見ではない。名前は様々だが。霊能者だったり、検察官だったり。だがなんら問題はない。我々は潜伏と襲撃のプロだ。無知な村人を騙し扇動して疑心暗鬼に陥らせ、今回のように処刑騒ぎに持ち込みその騒動に乗じて能力者を早めに始末つけるのがコツだな。そう、全く何も問題はない。これまでも、そして今回も、な」

あと少しだけ時間がほしい。僕は必死に質問を考えた。その表情を見たパメラさんは勝利を確信した余裕の笑みを浮かべた。逆に質問してくれた。「そういえばこの一日はどこに潜伏していたのだ?ほとんどの村人達はお互いを信頼できなくなっていたと思うが」僕はわざを間をとった。「ふむ。言いたくなければそれでも良い。たいした問題ではない」爪を振りかざす。「ヤコブさんだよ」「?」意外そうに、口をあんぐりと開けるパメラさん

農夫ヤコブさんは、ゲルトさんと同じくらい村でもおよそ存在感がない人。今回の人狼の襲撃順もそれを踏まえて、終盤まで残して害は無しと判断されていたのだろう。だがそれこそが逆ステルス。誰からも疑われずに隠れるには絶好の場所。「ヤコブさんが初日の会議のときに、僕を違和感のある視線で見つめていたんだ。最初はヤコブさんも人狼じゃないかって疑ったんだけど…」相手が興味を持つように、おちついてゆっくり話せ。

「でも同じような視線を向けていたリーザちゃんが、「影見の力」の適用先を見定めていただけなんだとわかったとき、僕は決心して、ヤコブさんに相談を持ちかけたんだ。人狼の残り2人は会議の段階で既に潜伏を決めて表情一つにまで気を使っていたはずだと気付いたからね。ヤコブさんは継承の力こそは持っていないけど、予想通りただの村人さんだったよ。絵がうまいというくらいかな」

「そしてこれが僕の作戦。うかつだったね、昨日の今日で、満月が出ているはずがないよ。そしておしゃべりがすぎたよね狼さんたち、本当はもうとっくに、夜明けだよ!」窓際に走りよって、大きく開け放つ。昼間準備した一枚絵をはめ込んでいたのだ。見事にリアルな月夜の風景画だったよ。なにしろ本物の人狼がその気になって正体を現したんだから。
窓の外に待機していたヤコブさんが、入れ替わりに部屋の中に突入してくる。

本当の外の景色を見てパメラさんの表情が凍りつく。既に朝日が差し込み始めている!
パメラさんが金縛りにあったように硬直した。伸ばされた爪も牙も、見る見るうちに消えていく。昼間の姿、普通の村娘の体に強制的に、戻されたのだ。これでは鋤を構えたヤコブさんには逆らえないはずだよ。
横に立っていた人形も瞬時に命を失い、床の上に転がり落ちた。

ものすごい形相でこちらを睨むパメラさん。「おしまいだねパメラさん。その人形さんともども、順番に処刑して、村の勝利だよ」最後の一言を叩きつけた。
「私は…人間であることには満足できず、更なる上の存在を目指して…そのための…だったのに…うがあっ」床に崩れ落ちる、男装の麗人。
こうして、人狼に怯える日は過ぎ去った。

数日後、村を見下ろせる丘の上。新しく出来た無数のお墓の前で、黙祷する少年ペーター。平和は勝ち取ったものの、代償はあまりにも大きかった。おじいちゃん、村長さん、アルビンさん、その他大勢の村人たちのお墓をまわり、お酒を供えていき、勝利の報告をする。最後にリーザちゃんの墓石の前に来る。いちばん長い祈り。「ペーターくん…」微かに聞こえてくる声をとらえる。「大丈夫。いつまでも一緒だよ」心の中で話しかける。

そのときたしかに見えた。初めて見るリーザちゃんの、にっこりと輝くような笑顔を。
「一緒なの」
遠慮がちにヤコブさんが肩に手を置くのに、顔を上げて笑顔を向ける。「さ、行こうか」荷物を手に持ち、思い出深いふるさとに別れの挨拶がてら手を振る。今はもう誰もいない、沈黙の中に消え行く村を。
そしてもう振り向かない。明日に向かって歩き出す。

(完)
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(メ゚皿゚)『オゥイェ!やっぱりスゲェぜペーターはYO!改めて読み返して、見入っちまっタ!(笑)』
【2005/10/08 17:48】
URL | チャーリー@Dr.G #gjNKnk3w[ 編集]


こうやって通して読むと感慨もまたひとしお……そして役回りへの不満もまたひとしお……(いや、嘘ですヨ?これはこれで好きだからね)。
ペーターくんおつかれさまなのっ。
【2005/10/08 18:47】
URL | リーザ@Y_Schnee #nft/jt/c[ 編集]

あらためて、、
改めて読むと結構な量ですね~
しかも、実はマルチエンディングだという~
結構、ジムゾン=狂人ってのも興味ありますねw
【2005/10/09 02:03】
URL | 神父ジムゾン #-[ 編集]


いかん、リーザ萌、に、洗脳されそうだ…
【2005/10/16 14:24】
URL | otta #-[ 編集]




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