人狼BBS:F国 F137村住人の作品集。

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【月に祈りて】 アルビン@tasuku

...2005/10/09 01:14...





 夜風が、心地良いと思った。
 月も、もの凄く綺麗だと思えた。
 ここは、とても穏やかな場所。
 競争主体の世界に身を置いている事を、ふと忘れさせてくれる……そんな場所だと思えた。

 それだけに。

「……なんで、人狼なんてモノに、狙われてしまったんでしょうねぇ……」

 ここを訪れたのは、仕事の一環。
 行商人協会の地方支部を増やし、顧客と流通ルートを拡大しようという、局長のプランに従っての赴任。
 そんなに上手く行くわけないのに、などと思ってやって来た。
 ……実際、仕事の方は大して上手く行かず、その内に人狼による被害者が増え続け、結果。

「……所詮、ヒトはヒトを疑い、自身の正気を保つモノ……というところですかね」

 村人たちは生き残るために、他の者を処刑する、という道を選んだ。
 人狼をそれで倒せる事に、一縷の望みをかけて。

 処刑と平行して襲撃は続き、村人はだいぶ減ってきている。
 誰もが疑心暗鬼、信じられるのは自分と、死者の魂の色を見分ける術を知る霊能者の少年だけ、といったところ。
 ……いや、彼の事とて、心から信じ切れている者は少ないのではないかと思う。
 それもまた、ヒトのサガだ。

「……にぃ……」
 相棒の黒猫が肩の上に飛び乗り、頬に顔を摺り寄せてきた。
 そっと、その頭を撫でてやりつつ、また月を見上げる。

 自分に対する処刑が宣告されたのは、つい先ほどの事。
 『生き延びるために』、『他者を処刑』という手段が選択された時点で、覚悟はしていた。
 村人たちの気持ちはわかる。ようやく狼を一人見出して処刑することに成功したとはいえ、危機は去ってはいない。
 生者の魂の色を見分ける術を知っていたらしき青年は昨夜の内に襲われ、誰が狼かは『殺してみなければわからない』のだから。
 そんな状況下では、余所者の自分を先に……という動きが生じるのも無理はない。
 そう思ったからこそ、決定を真っ直ぐに受け入れた。
 自分に、後ろめたいところはないのだから、と。

 ……と、リクツの上では割り切れてはいるものの。

「やっぱり、ねぇ……」

 殺される事に抵抗がないほど、人生を諦めている訳ではないから、複雑な心境ではある。
 だけど。

「……アルビンおにいちゃん」
 不意に、か細い声が呼びかけてきた。
 振り返った先には、にんじんの枕を抱えた少女が一人。
「おや、リーザさん。もう、休まないと……夜は、危険ですよ?」
 にこりと微笑んでこう言うと、少女はじっとこちらを見つめてきた。大きな瞳には、寂しげな色彩が浮かんでいる。
「えっと……あのね」
 空白を経て、少女は小さな声でこう言った。
「はい?」
「あのね、枕さん」
 呟くような言葉と共に、少女は抱えた枕をぎゅっと抱き締める。
「リーザ、にんじんの枕さんなおしてもらって、ほんとに嬉しかったの。それで……えっと」
 消え入りそうな声。
 その先の言葉を、無理をして綴らせるのが苦しくなって、そっと柔らかな髪を撫でた。
「まくらさん、大事にしてくださいね?」

 そして、生き延びて。
 妖しのもたらす狂気に囚われた大人の都合で、幼い命が失われるのは辛い事。 そう思うからこそ、村の決定を甘受したのだから。

「……うん」

 微笑みながらの言葉に少女はこくん、と頷き。
 それに、ありがとう、と呟き返す。

「にぃ……」
 少女を家まで送り、再び、月を見ていた場所へと戻ると、相棒がまたか細く鳴いた。
「……大丈夫だよ、にい君……きっと、ね」

 そう、きっと。
 血の流れない夜明けは訪れるから。
 それまで、幼い子供たちの命が断たれぬ事を。
 今はただ、月に祈りて。



 そして、曙光と共に、一つの生命が漆黒へと還り逝く。
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つまり、その~
おつれさま~なんかすっごく悪い事した気分ですね。
ごめんなさい。執拗に占い候補にあげた挙句に吊決定しました、、、、あぁ、なんてことを、、、
【2005/10/09 01:59】
URL | 神父ジムゾン #-[ 編集]


ああ、なんだかちゃんと登場させてもらってるの……(笑)
結構気合入って書き込んだ台詞だったから気に留めてもらえてたと思うと嬉しいの。アルビンおにいちゃんに直してもらった枕、リーザ今日も使ってるの。
きっと、アルビンおにいちゃんが祈っててくれたからリーザちゃんと正しい判断ができたんだね。ありがとうなのー。

(余談ですが、多分小さい頃、実際ににんじんの枕か、カバーがうさぎで中身がオレンジ色の枕を持ってました(笑)。流石に今は違いますけどね……プロローグの「いいかお」を教え込まれた話も半分ぐらい実話です、もうちょっと普通の顔だったけどw)
【2005/10/09 04:06】
URL | リーザ@Y_Schnee #nft/jt/c[ 編集]


にんじん(さん)枕が…!ヾ(*'ー')ノ"
ゆったりとした流れのお話で達観したかんじの商人さんによくあってます。やっぱりこの独特の雰囲気が狩人臭の秘訣かなあ(笑)
【2005/10/09 11:10】
URL | ペーター@oryza #-[ 編集]


(メ゚皿゚)『オゥイェ!アルビンGJ!限りなくGJ!リーザが本編より遥かに可愛く見えるのは仕様デスカ?(何)なんかこんなの見せられると誘導したことに罪悪感感じる今日この頃だゼ。後悔?』

(メ゚皿゚)『毛 ほ ど も し て ネ ェ(ぇ』

(メ゚皿゚)『ゲラゲラゲラゲラゲラ!(ヤメレ)』

(冗談はさておき、俺はこれ好きです…GJ)
【2005/10/09 12:12】
URL | チャーリー@Dr.G #gjNKnk3w[ 編集]


>チャーリーくん
ひっ、ひどっ……(笑)<リーザが本編より遥かに可愛く見える
そんなのそんなの、このリーザは議論してないからに決まってるのー!(涙)w

……っていうか確かに可愛い路線を目指したはずなのに、結局怖がられる私ってorz
【2005/10/09 12:37】
URL | リーザ@Y_Schnee #nft/jt/c[ 編集]


>リーザ
(;゚皿゚)『あー、分かった分かっタ。メンドクセーから泣くナ(笑)ちなみニ、論戦型リーザは“勝負を求める心”カラ好きダ。可愛いリーザはそれ以外の心デ好きダ。そして壊れたリーザは色々な意味で好きダ!(笑)だかラ、ぶっちゃけCOするト…お前ガ好きダ!!(何)』

(;゚皿゚)『…3戦連続でイカス少女リーザに出会ったせいで、属性が音を立てて変わっていくのを感じるゼ…(笑)』
【2005/10/09 13:23】
URL | チャーリー@Dr.G #gjNKnk3w[ 編集]


>チャーリーくん
……あ、あうぁ?(笑)
……わーい、嬉しいのー。ハグするのー、くっつくのー、いっしょにいるのー。(ぎゅー

(中の人:……アルビンさん、こんなところでこんなことやっててごめんなさい;)
【2005/10/09 14:16】
URL | リーザ@Y_Schnee #nft/jt/c[ 編集]


間違いなくリーザちゃんは可愛かったよ。けど同時に怖くもあった(論客として)。かわこわい、って感じかな(笑)

もし僕が霊じゃなく灰の一人としてあの場にいたら、いったいどう見られたんだろうかと考えると、結構楽しい。
「ペーター君はxx時の発言○○がちょっと疑問なの。これはリーザも考えたことだけど、ペーター君の言い方はちょっと違うと感じたの」
とかガンガン攻められたら太刀打ちできたんだろうか。
【2005/10/09 14:34】
URL | ペーター@oryza #-[ 編集]


アルビン殿、乙だ。旅先でけーたいから覗いた中の人が、罪の意識に七転八倒していたぞ(笑)

本当に美しい話で情景が浮かんでくるようです。こういう文章が、五感を刺激するような物語が、とってもとっても好き(><)
ええもん見せてもらいました~~。(by七転八倒した中の人)
【2005/10/10 13:58】
URL | パメラ@kyou #JC3MzfCQ[ 編集]


わわ、ばたばたしてたらコメント多数なのですっ(汗)

何と言いますか、自分的に一番動いていたのがやっぱり五日目だったな、という印象が強かったのでこうなりました。
リーザさんがまくらさんを持ってきてくれなかったら、ぼく、酒樽しかネタなかったのが実情ですし…||orz

あ、別に神父さんやチャーリーさん、パメラさんを恨んでるとかそういう事はないですよ~♪(ふふふ/ぇ)

(ちなみに、書いた人間が一番気に入ってるのは〆の一文です。死にオチですが、死を直接表すのは基本的に好きじゃないので、思いっきり比喩に走りましたw
ていうか、短編はいっつもこんな感じです)
【2005/10/10 22:17】
URL | アルビン@tasuku #-[ 編集]


枕さんほすぃ
【2005/10/16 14:15】
URL | otta #-[ 編集]




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